院長ブログトップ「うつ状態」であっても「うつ病」とは限りません

2011.4.19

「うつ状態」であっても「うつ病」とは限りません

「うつ状態」というのは気分が落ち込む、物事への興味や関心がない、生活や活動の意欲がない、考えがまとまらない、不安で落ち着かない、などといった主に大脳の前頭葉の活動の低下した状態で「症状」と考えるとわかりやすいと思います。一方「うつ病」は「うつ状態」が明らかに存在し国際標準の「うつ病」の診断基準を十分に満たしていて、かつその他の精神疾患や身体疾患をすべて除外診断してはじめて診断がつく「病名」です。つまり「症状」と「病名」の違いです。内科の病気で例えれば「胃もたれ」と「慢性胃炎」のような関係です。また「うつ状態」を呈する精神疾患は非常に数多くあり「うつ状態」と書かれた診断書だけでは病名を特定することは出来ません。これで企業の人事労務担当者や産業医の先生方も病態が理解できず非常に困ることが多いでしょう。精神科医が患者さんに「うつですね」とか「うつ状態です」と病名を言わずに症状だけ告知するのは何らかの理由があるにしても非常に曖昧な表現であるので、当院では患者さんにはきちんと病名を告知して病気の理解を得ていただいた上で治療を開始するように心がけています。

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