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2010年11月 のアーカイブ

就労者が職場内の問題でメンタル不全に陥る場合、過剰労務、労務内容のストレス、対人関係のストレスのいずれかあるいはそれらが複合したものに起因することが多いとすでにこのブログで書きましたが、職場環境調整だけではメンタル不全の発症メカニズの問題を解決できない場合もあります。正確にメンタル不全の発症メカニズムを把握して今後の治療や再発予防を検討していくには、元来患者さんご本人のストレス脆弱性つまり性格、人格、発達等の個人特性を持っているかどうか、またメンタル不全に陥る精神科関連疾患や身体疾患や嗜癖問題等を持っているかどうかを十分に確認する必要があります。職場、本人、疾患、これら3つの関わりを総合的に把握してメンタル不全の発症メカニズムを分析し治療や復職を成功させるには初診時診察で時間をかけた問診による診断精度が要求されます。うつ状態の心理検査も補助診断として初診時の状態像の把握や治療経過中や治療後の病状回復程度を測定する指標として有用ですが、これに頼った初期診断をすることは問題があります。心療内科や精神科で適正に診断をするということは各種状態像(症状)を確認して診断基準を軸に慎重に鑑別診断を行うだけではなく、その患者さん自身の本来の個人特性や生活のバックボーンを主治医が十分に把握した上で精神医学の基本原則に従いながらきちんと治療内容に反映させていくことが非常に重要であると思われます。

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