本年も「第6回うつ病リワーク研究会年次総会」に出席しました。リワークに関する産業精神医学的な学会のようなイベントでリワークの産業精神医学に関わる精神科専門医や産業医をはじめ、リワークに関わる医療多職種の人達、大企業や中小企業の総務関係者、社労士の方々など多方面から活発な発表や意見があり、今年も非常に勉強になりました。この知識や経験を外来の臨床現場や精神科産業医や精神科顧問医の業務にも展開させて、ひとりひとりの患者さんに対してさらなる貢献をしていきたいと考えています。産業精神医学やリワークの医療情報や環境変化は日進月歩です。メンタル不全の就労者の診療に従事する精神科主治医はこれらをリアルタイムに勉強して変化する時流に対応していく必要性があります。

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平成25年4月となり新年度となりました。職場における人事の変更や業務内容の変更や業務量の変化等の様々な変化があると思いますが、当院は引き続きメンタル不全の就労者の診断、治療、休職判定、復職支援、再発予防を軸に埼玉県の産業メンタルヘルスに特化した専門のクリニックとして頑張っていきたいと考えております。

平成25年4月1日よりクリニック内に「メディカルEAP埼玉」を開設しました。事業場内で対処できない従業員支援システムを外注委託するのが一般的なEAPですが、当院では「企業型EAP」や「心理系EAP」と異なり、「医療型EAP」の実践機関として産業メンタルヘルスに精通した精神科専門医の監修に基づく診断と治療の見解を加味した従業員支援システムを構築します。

具体的には一般の就労者の方のための就労に関する相談を行う「産業カウンセリングセンター」と公務員と教職員の生活就労相談を行う「公務員・教職員 心理相談室」の2つがあります。これらの相談費用は医療保険ではなく自費での対応となりますが、埼玉県市町村職員共済組合と公立学校共済組合埼玉支部の組合員の方は共済組合の助成制度が利用できます。

産業カウンセリングを併用することでお薬中心の治療に幅を持たせてさらなる治療効果に期待したいと考えております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

 

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さいたま市主催「家族のためのうつ病講座 第1回 うつ病とその周辺疾患について」の講演を平成25年2月20日に与野本町コミュニティセンターにて行わせていただきました。参加された皆様のうつ病に関する知識の整理のお役に立てたのであれば幸いです。今後も公的機関主催の講演会等がございましたら、参加する機会もあるかと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。

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様々なストレスが原因で就労者がメンタル不全を起こし勤務継続が困難になった場合にメンタルクリニック等に受診し診断の結果、休職の必要性があれば休職となります。休職したら自宅療養し外来通院加療で薬物療法や精神療法や生活就労指導を受けて、心身の症状が消失し就労意欲も出現し復職リハビリで復職相当になった場合は、職場の所属長や総務(人事)担当者や保健師や産業医との復職面談を経て、産業医の復職許可が出れば、職場復帰となります。しかし復職を治療のゴールとしてしまうと復職したことに安堵してしまい、様々な再発リスクにうまく対処出来ず、容易に再休職に至ってしまうことがあります。ゆえに「休職中の就労者の治療の最終ゴール」は「復職すること」ではなく「復職後に再休職を防ぐこと」になります。このため復職後も一定期間は「再発予防のフォローアップ通院」や「職場で設定した復職支援プログラムの実施」や「職場の保健師や産業医の定期面談」を継続していくことが必要となります。

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時と場所を選ばず動悸や不安の発作を起こす「パニック障害」から、満員電車や狭い会議室等の苦手な閉鎖空間に限定して動悸や不安の発作を起こす「パニック障害を伴う広場恐怖症」、また嘔気や身体愁訴が中心の不安発作「身体表現性障害」や下痢などの腸症状が中心の「過敏性腸症候群」等もあり、最初に診断を確定し、それに応じた治療計画をひとりひとり立てていかないと治療は難航しがちです。薬物療法も「根治療法」と「対症療法」に大別されて、患者さんに治療内容をよく理解してもらった上で慎重に選択していくことになります。「また発作が起こったらどうしよう・・・」という「予期不安」に対しては「行動療法」を日常生活の中で自分で日々実践することが重要で、この指導を短時間の外来時間内で実施していくのか、個人の特性に「認知のゆがみ」があったり「性格上あるいはトラウマ的に不安恐怖が強い」場合は、「認知療法」や「心理カウンセリング」を別途併行する必要性も出てきます。いずれにしても患者さんご自身が確かな知識を持ってどのように病気と向き合っていくのかが大事だと思います。

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何らかの理由でうつ状態になり出勤や勤務が困難になった場合に精神科や心療内科に受診して精神科専門医から休職判定を受けます。もし休職の必要があると判定された場合は自宅静養しながら精神療法や薬物療法を開始しますが、その後生活リズム療法も開始し心身能力の回復と生活全般の自己管理が可能になったら復職リハビリを開始します。復職リハビリは復職後の再休職を防ぐためのトレーニングで復帰前の準備として必要不可欠なものです。その後設定されたリハビリ目標を達成したら復職判定検査に向かいます。これはうつ状態の認知機能検査や社会復帰評価尺度の国際標準検査であり休職者が復帰する前には施行すべきものです。さらに再発予防上重要なのは疾患の発症原因を分析し再発予防対策を事前に行っておくことです。これを怠ると復帰しても再休職のリスクは高まります。主な原因分類としては①職場環境問題 ②家庭環境問題 ③個人特性問題 ④疾患特性問題 ⑤生活習慣問題 ⑥加齢現象問題があり、初診時からこれらの有無を詳細に確認し事前に対策を講じておくことが再休職を防止する要となると考えます。

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平成24年11月25日に埼玉県精神神経科診療所協会市民講座「働く人のメンタルヘルス ~復職をめぐって~」というイベントに参加させていただき、「シンポジウム 精神科主治医の立場から」という内容で講演させていただきました。主に事業場の人事労務担当者や産業保健スタッフの方々を対象にしたイベントでしたが、イベントは盛況に終了し私自身も参加して非常に勉強になりました。今後も産業メンタルヘルスに関して日々精進し治療現場の診療内容に生かしていければと考えています。

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「パニック発作が1回起こってもパニック障害とは限らない」と以前にも簡易診断の問題点を書きましたが、今回は実際の治療内容と重症度判定について書きたいと思います。「パニック障害」あるいは「パニック障害を伴う広場恐怖症」と精神科専門医に診断された場合はご本人の治療同意が得られれば薬物療法が治療の第一選択となります。パニック発作の根治療法にはSSRIによる計画的な薬物療法が行われ一定期間の内服と定期外来通院を継続することで発作が再燃するリスクは低くなります。SSRIの不安障害に対する保険適応が認可される前は抗不安薬の対症療法が漫然と行われて内服期間も治療寛解の有無もケースバイケースでしたが、現在は根治療法が確立しているのでそのリスクは少ないと言えるでしょう。ただしあくまでもSSRIによる薬物療法は不安発作の除去であって「パニック障害を伴う広場恐怖症」の場合の苦手環境(満員電車等)で発生する予期不安(また起こったらどうしようという不安)は行動療法(暴露訓練・エクスポージャー)を併用しないと症状は改善しません。つまり予期不安もきちんと除去するためには日常起こった出来事を定期外来通院の精神療法で毎回適宜医師にフィードバックしていく必要があります。またもう一歩踏み込んで認知行動療法(CBT)を併用すればさらに治療効果は上がりますが、これは当院では保険外対応となるため、医師が実施可能と判断し患者さんが希望する場合のみカウンセラーが別途実施しています。最後に当院では初診時にパニック発作の重症度判定検査(保険診療内であれば無料)を他の心理検査(一部保険適応)と併行して実施しています。もちろん国際標準の検査であり初診時にパニック発作の重症度を見極めるだけではなく治療経過や寛解時にも症状の改善程度が客観的に判断できるので患者さんにとっても有用性が高いです。現代の精神医学的に確立された診断や治療できちんと受けて症状の改善具合をご自身で客観的に把握されることは非常に重要なことであると思います。

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このたび日本産業精神保健学会の専門職の認定をされました。当学会は日本国内の産業精神保健領域の基幹となる学術団体で以前から会員ではございましたが、このたび学会の専門職(専門医)の資格を得ましたのでご報告させていただきます。今後も埼玉県やさいたま市の地域における産業精神保健領域(事業場におけるメンタルヘルス問題や就労者のメンタル不全に関わる診療全般)のさらなる発展に貢献できるように頑張りますのでどうかよろしくお願いいたします。

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職場のストレスでメンタル不全を発症した場合、メンタルクリニックの薬物療法や精神療法で症状を緩和させることも重要ですが、根本的な症状改善と再発予防を行うためには「職場環境調整」を行うことが必要です。具体的には自分を労務管理している所属長にまず相談しストレスの原因とメンタル不全の状況(通院有無も含む)を伝えます。(所属長との対人ストレスが発症原因で所属長に直接相談できない場合はさらに上の上長に相談します)産業保健スタッフ(産業医、保健師、カウンセラー)が配備されている事業場に勤務している場合は所属長から人事の担当者を経由して産業保健スタッフと面談し問題解決を具体的に検討していきます。本社も含めて産業保健スタッフの配備がない事業場に勤務している場合は、事業場が社外のEAP機関(外部相談機関)と契約していれば、これを活用し問題を相談しますが、外部EAP契約がない場合は所属長やその上長との相談のみになります。相談する上で大切なことは個人情報を保護してもらい相談者本人に不利益がないように配慮してもらうことです。相談の上で精神科専門医の診断の必要性がある、または何らかの精神症状(不眠、不安、うつ等)があり、症状緩和の治療を希望する場合はメンタルクリニックに受診を勧められる場合もあるでしょう。いずれにしてもひとりで抱え込まずにしかるべき相談相手にきちんと相談して今後の問題解決策を練ることが改善に繋がります。

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